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2010年12月 7日 (火)

【能面】ついに完成、羅睺阿修羅王。胡粉と膠の微妙な関係。

3月に始めた黒髭改、羅睺阿修羅王もついに完成の時を迎えました。実は先週、すでに完成していたのですが、面展やらなにやらでバタバタしており、blogの更新が延び延びになっていたので、ようやく今日、お披露目です。都合、8ヶ月の大仕事、それでも今までよりはかなり早いペースで出来上がった事になります。やはり、お尻が決まっていると否応無しに頑張れるということでしょうか。膠の調子もよく、色がスムーズにのってくれた事も幸いしました。下地や上塗りには、胡粉を膠で溶いて塗るのですが、この膠、温度が低くなると粘性を増す性質があります。下塗りには膠100%、上塗りは、その後の彩色過程で色がよくのるように、水で薄めて使用します。この割合は、季節や温度で変えていきます。膠の分量が多くなると、表面は硬くなり、彩色作業がうまくいきません。結局、膠は日本古来の天然糊のようなものですから、固まるとガラス質のような感じになります。だからこそ、独特の艶が出るわけですが、今まで使ってきた絵の具とは全く違う考えが必要です。
通常、絵の具は、水で溶きます。しばらく置いておくと水分が乾燥して粘性が増すので、むらにならないよう、再度水を入れて濃度を調整します。(これはあたりまえ)さて、ここで、胡粉を膠で溶いた場合。元々膠は個体です。それをお湯で溶いて使います。それをさらに水で薄めて胡粉と適切な割合で混ぜ合わせるのですが、時間をおくと絵の具と同じく、水分が飛んで粘度が増します。ここで問題なのは、ただ乾いて硬くなるだけなら水を入れて薄めれば良いのですが、膠は温度が低くなっても粘度が増します。硬くなったからといって、単純に膠液を足してしまうと、膠の分量が多くなり過ぎ、硬い表面になってしまいます。水で薄めてしまうと、今度は反対に膠の量が少なくなり、粘着力が弱まり、ボロボロと剥がれやすくなってしまいます。夏場はまだしも気温の低い冬場は要注意。その解決策として、溶いた胡粉は、湯煎で暖めておき、温度変化による粘度を調整しながら塗っていきます。いやいや、難しい。今回の黒髭は、我ながら上手くいったような気がします。

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目は、月の目、太陽の目で、色をわざと変えてあります。口にくわえているのは、地球をイメージした玉です。肌の風合いは、我ながら満足。毛描きもどうにかなりましたが、もう少し勢いが欲しかったところです。まだまだ修行が必要。しかし、筆遣いは、昔取った杵柄で、なんとかなるかと思っていましたが、平面と立体ではまるで勝手が違う。しかも失敗が許されないので緊張しきりでした。

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京都能面展の様子。右から2番目に私の面が飾られています。同じ黒髭を元にしていても、これだけ個性が違うのかと、とても興味深い体験でした。

制作過程の全貌は、こちらをご覧ください。

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