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2010年10月29日 (金)

アリエッティな写真達【9】分かれ道。

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巨大な木々の枝が遥か天上まで伸び、無数の葉を茂らせ、地上には一筋の光も零すまいと空を覆い隠す深い森。そんな暗黒の世界に差した一筋の光。その先に何が待ち受けているのかわからずとも、ただその光を目指すしか術が無い。人の目は光の力を借りなければ何も見ることはできない。暗黒の世界で道を照らすのは自らの強い意志と勇気、心が発するささやか光を頼りに太陽の恵みを探し求める。
やっと見つけた光が照らすのは無数の分かれ道。その道はまるで生き物の様に畝り、決して先を見せてはくれない。未来は決められた一本の道ではない。人は選択を繰り返し、その選択によって道もまた変化していく。それでも人は歩き続ける。道の果てに差す光があたたかである事を願いながら。

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2010年10月27日 (水)

【能面】羅睺阿修羅王の彩色

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能面、羅睺阿修羅王もいよいよ上塗り。色がつきました。最終的には、金泥といって金色になりますが、まずは、下地に何層か色を重ねていきます。能面の彩色はよごしをします。できたてほやほやの仕上がりでは無く、室町時代くらいの古さに仕上げていきます。あまり奇麗すぎると舞台で映えないし、照明ではれて、白く薄っぺらに見えてしまうからです。なんだかガンプラの改造みたいですが、こういう手法が江戸時代から脈々と受け継がれてきています。というわけで、この羅睺阿修羅王も、金とはいえ、所々禿げたり、汚れたりしている感じに仕上げています。もちろん、キズとかもつけます。今は第一層目の色。この後もっと濃いレンガ色のような色をところどころ彩色し、わざと刷毛ムラを残して金泥を塗ります。その後、部分的に金を剥がし、下地の色が現れるようにしていきます。まだまだ先は長い。間に合うのか?

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2010年10月26日 (火)

ちゃんと仕事もしています(笑)。

なんだかんだと毎日遊んでばかりいるように見えますが、ちゃんと仕事(本職)もしています。写真は本日届いた仕上がり見本。白鹿のお歳暮ボトル。蒔絵風の黒松白鹿と、吟醸は、テーマ「尾形光琳」、迎春は桃山美術のような華麗な感じで。各々、10色刷りという豪華な仕様で仕上がっております。吟醸のマットな金を出すのがなかなか大変で、つくばの工場まで出張校正に行きました。仕上がりを見て満足。今年のお歳暮は、ぜひ、白鹿で。

Ginjo

Geishun

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2010年10月25日 (月)

発売開始!

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本日25日より、loft(池袋店、渋谷店、横浜店、梅田店、京都展、天神店)でマヤゴノミ一斉発売!かねてから日本橋三越で細々と販売していたマヤゴノミ ココロづけ袋が本日より全国主要loftさんで発売の運びとなりました。今回のために、39種類のポチ袋(マヤゴノミ プチ袋)も同時発売!
プチ袋は、表から裏まで一枚の絵が続く絵羽仕立てになっております。たぶん、今までこんなポチ袋は無かったと思います。(それもそのはず、つじつまを合わせるのに一苦労、折りはすべて手折りで、これまたご苦労かけました。)年末も近いので、お正月用、来年の干支の卯(うさぎ)などもとり揃えております。最寄りのloftで実物をご覧になってみてください。
この後、年末にかけて、新しい商品も投入予定です。そちらも乞うご期待!

Lineup

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2010年10月21日 (木)

神楽坂テーマパーク第二夜。

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いよいよ最高に緊張した第二夜。第一夜の私は番頭兼カメラマンでしたので、進行が滞り無くいくかどうかの心配こそありましたが、緊張する場面はありませんでした。一番緊張したのは若旦那のかづさんでしょう。しかし、第二夜。ついに人生で初めてステージに上がる日がやってきてしまいました。
昭和の話をするときに、ビジュアルだけでは片手落ち。フォークソングに歌謡曲、アニメソングと、懐かしく思い出されるものは常に当時の音楽と一緒でした。逆に懐かしい音楽を耳にすると当時の事が蘇ってくるものです。そんなわけで、まずはフォーク、初期のミーティングに参加していたメンバーの一人が言い出したのは、かぐや姫の「22才の別れ」(実際は風?)誰もがあの時代を思い出す曲。ベルボトムやロンドンブーツ、長髪にサングラス、髭、ヒッピー風なシャツ。そんな話をした翌週には、かづさんにそそのかされてお茶の水でアコスティックなギターを買うはめになりました。しかし、最近のギターは進化している。ギターという楽器は、これ以上進化する余地がないかと思っていたので驚きです。マイク内蔵でアンプにつなげられる所まではまだわかる(エレアコっていうんですね。)。なんとチューナーまで内蔵している!!初心者にとって意外に高い壁になるのがチューニング。そのチューニングが目で見てやれるなんて、なんて便利な世の中になったんでしょう!しかし、ギターを買いにいったのが、このイベントの約2ヶ月前。それから毎夜ひそかにスリーフィンガーの練習をしてきました。そんな訳で一曲目は、22才の別れ。しょっぱなでミスって、笑いを取って、仕切り直し。みなさんの手拍子がありがたかった。ちなみにかづさんはリードギターです。それにしても、弾きながら歌う事のなんと難しい事か、カラオケなら何回も歌ったことがあるのに全く勝手が違う。ギターに集中すれば歌詞が抜けるし、歌に集中すれば手が止まる。冷や汗かきっぱなしです。

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もうひとつ大事なアイテムはベルボトム。今時、ベルボトムなんて売ってるんだろうか?古着屋回りでもしなきゃならんかと思っていたのに、ありました。渋谷に!ベルボトム専門店DEE DEE。古着じゃなくれっきとした新品が手に入る店。ほぼ同い年の店主と古き良き時代を語り、その三日前の夜、ジーンズメイトで店員のにいちゃんに「ベルボトムはどこにありますか?」と聞いたら、「ベルボトムってなんですか?」と聞き返された事に、「仮にもジーンズショップに勤める人間がベルボトムを知らんとはけしからん!」と嘆きながら裾直しをしてくれている姿になんだかかっこいい哀愁を感じました。

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続いて、2曲目は、イルカの「なごり雪」これは、澤田さん(会場では女中頭)にイルカをやって欲しい!オーバーオール着て!という私の願いが受け入れられた演目です(笑)同じくDEE DEEで手に入れたベルボトムのオーバーオールは、昔のと違う!こんなオシャレな感じじゃなかった!とぶつぶつ文句を良いながらも演奏開始。


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3曲目は、今風に言うならアニソン。ひみつのアッコちゃんのエンディング曲「すきすきソング」この曲、作詞は井上ひさし、作曲小林亜星、歌は言わずと知れた水森亜土さんです。最近はCM曲に使われています。なんてタイムリー!原曲のキーボードはなかなかかっこいい!さらに舞台右には、京都からこの日のために駆けつけてくれたアッコちゃ〜〜ん!

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続いて4曲目。真打ち登場、かづさんの「ルパン三世のテーマ」

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最後はなんと、「ドリフの早口言葉」これは、ベースのなかのさんが、初めて弾いた思い出(?)の曲!懐かしさと可笑しさで、ほぼ全員が参加し、大盛り上がりのうちにこの日は終了。それにしても来てくださった会場からあふれるほどたくさんのお客様。最後までだれ一人席を立つこと無く、一緒に盛りあげていただいた、あたたかさに感謝です。これもひとえに主催者(首謀者?)かづさんの人柄の良さなんでしょう。今一度みなさま、「ありがとうございました。」

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2010年10月20日 (水)

神楽坂テーマパーク第一夜

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半年に渡ってああでもないこうでもないとミーティングを重ね、30年ぶりのギターを買い、人生初のスタジオ入りを経験し、渋谷のベルボトム専門店で、この先履く機会があるかどうかもわからない縦ストライプでぱっつんぱっつんのベルボトムを買い、大勢の人々のやさしいご協力のおかげで、「神楽坂テーマパーク2010」(年号付けたら来年もやるのか?)も大盛況のうちに無事終了しました。
会場に駆けつけてくださった皆様、暖かい拍手をどうもありがとうございました。大々的に(というか全然)告知をしていた訳でもないのに、神楽坂のギャラリーフラスコは連夜、人が道に溢れるくらいの大入りで、最後まで席を立つお客様も無く、主催者かづさんの人柄の良さなのか、神楽坂の人々のあったかさに感謝感謝の2夜でした。
この企画、会場にいたスタッフもお越しいただいたお客様もその趣旨がわからない、でも、なんだかとっても楽しいという、へんてこなイベントでした。そもそも、神楽坂にサラスというお店をオープンして10年ほどになる(この「ほど」がまた中途半端できっかり10周年記念とかっていうわけじゃありません。)「髪結いのかづさん」が、年男である今年、突然思い立ったかのように「自分祭りをやりたい!」と言い出したのが発端。周りのみんながその人の良さにどんどん巻き込まれ、あれよあれよという間に実現してしまった。という巻き込まれた人々もその先に何があるのかわからず、いっしょにつっ走ってしまった本気の大人遊びでした。
決まっていたテーマはただひとつ「昭和」。昭和と言っても、我々が子供だった時代の昭和というピンポイントな時代。その中心には、やはり、大阪万博は外せない。ってなわけで、上のシンボルは、(神楽坂のシンボル)毘沙門さんと太陽の塔をくっつけてイメージしたもので、タイトルも当初、どんなものになるか、まったくわからなかったので、何をやっても良いように「神楽坂テーマパーク」としました。

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昼間の会場は、ギャラリー(というか休憩所?)。飾られている写真は、主催者かづさんの写真。住まいもある神楽坂を拠点に、趣味人かづさんが遊びまくった数々の写真。壁の下、腰板のように巻かれているのは、60年代、70年代の懐かしい雑誌広告。これをひとつひとつ見ていくだけでも当時の事が懐かしく思い出され話に花が咲きます。奥の舞台は昼間、お茶の間になっており、ちゃぶ台の上には懐かしい昭和のおもちゃや水飲み鳥が首を振り、ブラウン管テレビでは、当時の懐かしいCMが流れています。
駄菓子は食べ放題、飲み物は、アルコールはオールドの水割り、それから、同年代ならわかってもらえるはずのウイスキー(オールド)のオロナミンC割りとオロナミンセーキにオロナミンミルク。それから「ひやしあめ」これがなかなかの誤算、私やかづさんには「ひやしあめ」は懐かしい飲み物の代表みたいなものでしたが、色々聞いてみると、どうやら関西ローカルな飲み物だったらしく、東の皆さんには全く馴染みのないもののようでした。それでも、面白がってた飲んだ方々には、美味しく召し上がっていただけたようですし、中には、オールドのひやしあめ割りを気に入り、何度もおかわりしてくださる奇特な方もいらっしゃいました。

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おすすめの逸品がこれ「チビ太のおでん」△○□を串にさした懐かしいさ満点、味も三ツ星なおでんでした。本物は、こんにゃく、がんも、鳴戸巻きですが、今回は、こんにゃく、エビ天(ボール)、ちくわにしました。1串200円なり。一晩50本、2日で100本は見事完売。我々スタッフもほとんど口にできないほどの大人気でした。

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かっぽう着を着たおかみさんと女中頭がチビ太のおでんを仕込み中。その様子をうかがうピッピー姿の放蕩娘の図。

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最初の演目は、鼓動隊の大鼓と能管のセッション。オープニングにふさわしく大鼓の張りつめた音と能管の空気を切るような調べが、始まりを伝えます。この日の演目はすべて、日本の伝統芸能。笛、三味線から阿波踊りまでこなす多芸なかづさんの自分祭りの幕が開きました。

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演目と演目の間は、飲み物とチビ太のおでんを片手に談笑。

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二つ目の演目は、仕舞「老松」習いたてのお能の仕舞を披露です。地謡は紙問屋の宇野さん、緊張がこちらまで伝わってくるようです。ちなみに後ろの竹に付けてある能面は、上の童子が澤田さん(女中頭?)作、下の小面は私作です。

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三つ目は、長唄で「老松」かづさんが笛を吹きます。

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トリは、「老松」にインスパイアされて、かづさんが作曲したオリジナルをギターで弾き、それに合わせて日本舞踊のお師匠さんが舞われます。かづさんが全身全霊を注ぎ込み、もっとも緊張した演目だったそうです。

ということで、第一夜は無事終了。この後、阿波踊りの飛び入りがあったりで、宴は夜遅くまで続きました。二夜目は徹底的に昭和。いよいよ恥ずかしながら私の登場です。乞うご期待。

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2010年10月14日 (木)

アリエッティな写真達【8】きゃーーーっ!

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妖精?
モンスター?
宇宙人?

突然、目の前に現れた宙に浮かぶ怪しげな緑の物体。冷静になって見れば、それが、葉っぱだとわかるけれど、空に浮かぶ二本足のモンスターにも見えるし、巨大なシオマネキのハサミのようにも見えてしまいます。
本当は空に向かって開いている葉っぱが、自然の悪戯で、茎が折れ、下を向いたので、こんな不思議な風景が現れました。

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2010年10月13日 (水)

アリエッティな写真達【7】まき散らした星型ビスケット。

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雨の日、地面に落ちたキンモクセイ。こうして近くで見てみると、肉厚で柔らかそうなその花は、思わず口に運んでしまいそうなくらい美味しそう。まるで天井人がまき散らしてしまったビスケットのよう。雨と共に天からの恵み、地面を山吹色で覆う金木犀の絨毯は、どこまでもどこまで続いていきそうです。

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2010年10月12日 (火)

アリエッティな写真達【6】月遅れの昼花火。

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秋空いっぱいに咲いた真っ赤な彼岸花。見上げてみた彼岸花は、大輪の花火のよう。曼珠沙華や天上の花という意味も持つこの花は、地上から一直線に伸びる茎のその先で、まるで命を爆発させるかのように咲き誇ります。この花の下を上を見ながら歩けたら、どんなに幻想的なことでしょう。

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2010年10月11日 (月)

アリエッティな写真達【5】サイ王の遺跡。

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森を深く分け入った所に、それは突然現れた。生い茂った植物達に守られるようにその遺跡は人知れずひっそりと佇んでいた。壁には大きく「埼」と「王」の文字が刻まれている。その下の文字は朽ち、読むことはできない。ここはかつて埼(サイ)という王が収めた国なんだろうか?豊かな自然、色とりどりの花に恵まれた国、言い伝えによると彩の国とも呼ばれていたようだ。

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あっ、「王」じゃなくて「玉」だった!

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2010年10月 8日 (金)

アリエッティな写真達【4】緑の翼、発進準備完了。

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アイビーの葉っぱは、下から見上げると前進翼のジェット機みたい。準備が完了した機(葉)から順次発進していくように見える。これだけたくさんのアイビーが一斉に飛び立ったら、空は緑に覆われ、灰色の都会を森の中に変えてくれる事でしょう。

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2010年10月 7日 (木)

アリエッティな写真達【3】水の神と水の女神。

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時折、きまぐれに水を恵んでくれる銀色に輝く口。冷たく硬い壁の上に飛び出した口から、ある時はポツポツと、ある時は滝の様に激しく吐き出される水は、雨とは全く違う恵みをもたらしてくれます。
水の女神の口は大きく頑丈な鎖で閉ざされ、荒れ狂う火の神によってもたらされる災厄の時にのみ開かれます。鉄の壁に閉ざされた、その慈愛の心と火をも鎮める強い力は、来る事を望まれないその時まで、静かに時を刻みます。

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2010年10月 6日 (水)

アリエッティな写真達【2】森のたからもの。

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群馬県は秩父の山中、小さなお社に続く石段で見つけたたからもの。子供の頃、森に落ちているドングリがたからものに見えていました。時の経つのも忘れ、次から次へとたくさんたくさん拾い集め、家に持って帰ったのを思い出します。中でも帽子をかぶったものは特別。もう、想像は際限なく広がります。こんなにも子供心をくすぐる森の贈り物、今の子供達にも伝わるのかしら?お伽話は、荒唐無稽で非現実な空想の産物ではなく、少なくとも子供の心には現実として残っていって欲しいと思います。

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2010年10月 5日 (火)

アリエッティな写真達【1】小さな大樹。

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ジブリ映画「借りぐらしのアリエッティ」の特集番組をテレビで見てから、それに触発されて、アリエッティな目線から世の中の風景を見てみようと思い立ちました。それからというもの、街や公園、野や山を歩く時、常に下を見て、ここから見上げた風景って、いったいどんなだろう?と考えるようになりました。
愛用のRICOH GX200にマクロコンバータを装着して、撮影した写真も少しまとまってきましたので、随時、ご紹介していきたいと思います。
それにしてもこの撮影、町中では、なかなかに恥ずかしいものがあります。良さげなポイントを見つけたら、まわりの人通りを見渡し、突如しゃがみ込んで、ああでも無い、こうでも無いとシャッターを押す事の繰り返し。地面すれすれに構えたカメラでは、ファインダーを覗く事も、液晶をみるのもままなりません。撮って確認しては、やりなおしの繰り返し。人通りの多い場所では、おかしな人に見られたり、下手をすると盗撮に間違われそうでハラハラドキドキ。
都会の真ん中の小さな植え込みも、視点を変えれば、突然、深い森に見えてきますし、見慣れた小さな植物も少し見上げるだけで、不思議な古代植物のようにも見えます。

上は一番町のオフィス街、下は公園です。

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2010年10月 4日 (月)

ヤスリがけと下地塗り2回目。

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上の写真は、第一段階のヤスリがけが終わったところ。一回目は、木の表面の凹凸を無くす工程です。したがって、写真の様に塗った胡粉をほとんど落としてしまいます。彫りの段階ではつるつる平坦できれいに見える表面も、こうして見ると小さな凹凸ででこぼこです。低い部分の胡粉を残し、高い部分とのバランスを取って、より平滑な表面を目指します。ある意味、一回目は、砥の粉を塗っていくような作業です。ここでしっかりヤスリがけをしておかなければ、この後、何回塗り重ねても堂々巡りの繰り返しになります。

能面の下地塗りが盛り上げ胡粉と言われるのは、単にきれいに仕上げるためではなく、この段階で最終的な形を整えるためです。彫りではできなかった部分、あるいは、下地塗りをして白くなったために見えてきた形の調整を行ないます。このさじ加減で、表情はコロコロ変わってしまいます。
彫りでは、納得できる形が彫り上がった時点で、そこに胡粉の層が重なる事を見越して、その分だけ削り取る作業をしています。これがなかなか難しい。凸面凹面によって、胡粉の厚みは変わってきます。凸面は薄く、凹面は、どうしても胡粉がたまって厚くなるので、より深く彫っておきます。従って、木と胡粉の層の兼ね合いを見ながら最終的な形を整えていきます。塗りながら彫っていっているような工程です。

写真の歯とくわえた玉が煤けて汚れているのは、最終的な仕上げのための準備です。この面(おもて)は、歯が金色になります。くわえた玉は、太陽と月を表しているので、金銀のまだらに塗る予定です。その際、古びた感じを出すために(よごし作業)色を薄く剥がしていって、ところどころ下地が見えるような風合いにしようと考えています。剥がしたところから白木が見えては台無しです。そのため、ここでも過マンガン酸カリウムの出番。木の部分を焼いておきます。これで準備完了。二度目の下地塗りにかかります。

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二度目の下地塗りが完了したところ、一回目とは違い、シャープさが増し、ずいぶん趣が変わってきています。写真は、まだ、筆で塗っただけの状態です。ヤスリはまだかけていませんが、ずいぶん表面がきれいになってきています。これにヤスリをかけるとさらにつるつるな感じになり、より精悍な感じになる(予定です)。この段階からは、斜めに持って光を当ててみたり、神経を研ぎすませ、指で触って凹凸を感じながら、細かな凹凸を徹底的に無くしていきます。まさに職人技の域です。

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下地塗り一回目。

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羅睺阿修羅王(原型黒髭)の彩色は順調に進んでいます。裏面の漆も無事乾き、表面の下地塗り(盛り上げ胡粉)開始です。まずは、補修したところに和紙を貼り、空気を出して密着させます。この時、和紙は必ず手でちぎります。ハサミで切るとエッジがしっかりしてしまい段差がでてしまうからです。和紙は手でちぎるとエッジの繊維が解れ、程よく地肌になじんでくれます。う〜ん、和紙ってなんて素晴らしいんだろう。伝統をつないでくれた職人さんに感謝。
下地用の荒めの胡粉を膠で解いて、まずは、薄めのもので下地の下地を作ります。この時、木の目に擦り込むように叩いていきます。この工程を疎かにすると、胡粉がしっかりとつきません。それが乾いたら、いよいよ下地塗り一回目。胡粉の硬さは、ガッシュやポスターカラーでべた塗りをする時と同じ感じ。、ただ、粉っ気が強いので、手早く塗らないと刷毛ムラが出てしまいます。一回目は、後からやすりでほとんど落としてしまいますが、少し厚めに塗り重ねます。写真は、一回目を塗り、軽くヤスリをかけた状態。彫りの段階で、これ以上は無理!ってくらい平坦にしたつもりでも、こうしてやすりをかけてみると、でこぼこが浮き出てきます。写真の濃い模様のような部分は、地肌の木が見えてきたところ。まるでこめかみに血管が浮き出して怒っているみたいで面白かったので、思わず1枚。この先、もっともっとやすりがけをしていきます。

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