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2010年3月18日 (木)

キリンは黄色い?

先日のエントリーで桜の花は白いと書いた。しかし、多くの人が桜の花の色はピンクだと記憶していないだろうか?たしかに花は真っ白では無い、若干ピンクがかった白ではあるが、皆が記憶している桜のピンクはもっと濃い。その理由は、蕾にある。桜の蕾は濃いピンクだ。5分、7分咲きの桜は、その蕾のピンクのおかげで、全体がピンク色に見える。もうひとつ、キリンは黄色いか?イラストや、キャラクターで、キリンは黄色く描かれる。「キリンは何いろ?」と聞かれて「黄色」と答える人も少なくは無いと思う。では、実際のキリンはどうだろう?実は白地に茶色の模様が入っているだけで、黄色はどこにも見当たらない。白と茶色のまだら模様がなんとなく遠くから見ると、茶色が薄まり黄色っぽく見えるだけだ。あと、キリンに関しては、キャラクターやイラストの刷り込みも多分に影響してはいるとは思うが、原理は桜と同じだ。
この錯覚(?)を利用したのが、現代のカラー印刷技術と言えるだろう。通常の商業印刷物は、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)たった4色で印刷されている。絵の具のようにそれらのインクを混ぜて色を作り、印刷しているのではなく、この4色だけで印刷している。その秘密は点描だ。この4色を肉眼では見えにくいくらい(少なくとも老眼(遠視?)の私には裸眼で見ることはできないくらい)小さな点々で印刷する。マゼンタはツバキの花のように濃いピンクだが、これを50パーセントくらいの網点にすると桃の花のようなピンクになるし、10%くらいにすれば桜の花のような淡いピンクになる。ここでのパーセントは、その面積に占める点の総面積と考えれば、わかりやすいだろう。10%は50%と比べて点と点の距離が離れてまばらになっている。結果、マゼンタの絵の具1に対して白を9混ぜて作ったような淡いピンクに見える。あくまで見えるだけで、実際に印刷されている色は原色のマゼンタのままだ。マゼンタ50%とイエロー50%ならオレンジになるし、イエロー80%とシアン30%なら黄緑になる。おもしろいもので、かならずその合計が100%である必要も無い。色の濃度が面積に占める網展の総面積なのに合計が100%を超えるのは矛盾しているようにみえるが、印刷インクは透明なので、イエロー100%とマゼンタ100%という色も再現できる。俗に専門用語で「金赤」と言われるもっともニュートラルな赤だ。4色全てが100%という指定もできる。もちろん見た目は黒になる。絵の具やインクは加色混合なので、混ぜれば混ぜるほど黒に近づいていくからだ。ただし、4色100%は、インクが乾かないと、印刷所には嫌がられるし、時にはどれかの色に振れることもある。
こうやって印刷は原色に近いフルカラーを実現している。原理は桜やキリンと同じだ。一度、手近にある印刷物をルーペで見てみよう。そこには、4色の網点が織りなす万華鏡の世界があるから。(そんな綺麗なもんじゃ無いかな?)

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