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2010年2月11日 (木)

物流は何をしてきたか?(漁師さんの笑顔。)

我々が今、こんなに豊かな生活をおくれるのは、物流の発展によるところが大きい。北海道で獲れた蟹を自宅で食べられるのも、宮崎のマンゴーが食べられるのも、すし屋のネタが豊富なのも、スーパーでありとあらゆる食材がそろうのも、すべて物流のおかげと言っても過言じゃない。世界中を見渡しても、今日発送した宅急便が翌日の10時に時間指定で届くような物流システムを持った国は他にない。なりものいりでオープンしたIKEAに行った時、買ったものを配達してもらえないことに驚いて、「なんて不便なんだ!今時あり得ない。」と、思ってしまったのは記憶に新しい。それほど物流は生活の中に浸透している。
だが、この物流のある一面が生産者の顔と、消費者の喜びの間に大きな壁を作ってしまったことも事実だ。昨年は原油高騰で船を出せない漁業の現場が問題になった。船の燃料、つまりコストが高くなっても、獲れた魚の値段は変わらない。船を出しても赤字になるのでやむなく漁に出るのをやめてしまう。市場に流通する絶対量が減って、需要が供給を上回っても、あまり売値は変わらない。多少の値上がりはあっても、漁師さん達まで恩恵は届かない。経済の原則を歪めたようなこの状況、これもまた、複雑に構築された物流システムが生み出した負の部分だ。

そもそも、この物流システムは、大量消費に対応するため成長してきた。大都会での治産地消は夢のまた夢、東京の食糧自給率はわずか1%しかない。そんな東京に食糧を運ぶためには大規模な物流システムが不可欠、生産者が担いでくる分でまかなうのは100%不可能だ。さらに大量消費の市場には大きなビジネスチャンスがゴロゴロしている。物流大手がこの市場を見逃す訳はない。いや、この市場が大手物流企業を育ててきたのだ。そうして、生産者は誰が食べるのかわからないで食物を育て、漁をし、消費者はどこの誰が育てたのかわからないものを食べる。これでは感謝の気持ちも、作る喜びも薄れていってしまう。そんな歪んだ状況が、食品偽装を生み出してしまった。

ここ数年は産直ブームで、今一度、物流を見直し、顔の見える物流を目指そうという動きが出てきた。相変わらず、鼻のきく物流大手がこのブランドを見過ごすはずもないので、すべてを鵜呑みにすることはできないが、それでも、インターネットの普及も手伝い、まっとうな流れも生まれてきている。

ある、産直サイトで最近始まったサービスは、リアルタイムで、漁が観られるというものだ。当然、早起きは必須だが、これがなかなか画期的。今まさに釣り上がった魚は、その場で値付けされ、即時にネットに上げられ、漁の一部始終を観ていたネットの向こうのユーザーが、購入する。その魚は、当日か、遅くとも翌日には消費者の手元に直接届けられる。中間が無いので、消費者は安く買えるし、生産者の手元に入る収入も増える。何より、入札があった事を知らされた漁師さんはとっても良い笑顔だった。そんな漁師さんの言葉が印象的だった。「わしらは食べるひとに喜んでもらいたくて、寒くても鼻水垂らしながら頑張っとるんや。そうやなきゃ、やってられんで、ほんま。」こういう大事な事を我々は忘れかけているんじゃないだろうか?

とはいえ、こういう事が実現できるのまた、高度に発達した物流システムの恩恵なのは言うまでも無い。

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