« やはり月には雲が似合う。 | トップページ | さらに実験してみた。 »

2009年7月15日 (水)

うつし。

Koomote3

江戸時代初期に能楽が確立してから現在に至るまで能面は「うつし」の文化が続いていいます。能面は現在も数多く作り続けられていますが、そのほとんどが江戸初期に確立された百数十種類を元にうつされています。つまり、まったくの新作面というものは限られた用途で使われる以外作られていないということになっています。元の能面は「本面」と呼ばれ、現在も大事に保管されるだけではなく、実際に舞台で使われることもあります。

だからといってまったくの「コピー」が作り続けられているわけでもありません。「うつし」とは、「コピー」ではありません。ある厳格な決まりのなか、作者の思いを込める部分は限られてきますが、だからこそ、そこにすべての思いを込めて面を打ちます。それは、ある種、本面への挑戦でもあるかもしれません。400年以上の長い時間、多くの面打ち師がそれに挑戦してきました。中には本面と並び称されるほど名のある面も多く存在します。

そもそも「うつし」とはどういうことでしょうか?

ある文献に書かれていた事を参考に私なりの解釈をしてみます。「写し」「映し」。この二つの言葉は同じ音ですが、意味はまったく違ってきます。「写し」は、模写する事、すなわちコピーです。「映し」とすると、そのものに投影するという意味を持ちます。桧でできた物体である面に、表現される人物を映し、己を映すのかもしれません。また、「移し」とすれば、魂の入れ物としてそこに移すのかもしれません。

お能的に考えれば、「現し」ともいえるかもしれません。
そもそも実体の無いものを現(うつつ)の世に現わすことなのかもしれません。

|

« やはり月には雲が似合う。 | トップページ | さらに実験してみた。 »

能面」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1216618/30539278

この記事へのトラックバック一覧です: うつし。:

« やはり月には雲が似合う。 | トップページ | さらに実験してみた。 »