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2009年7月23日 (木)

バリアあり。

今朝のワイドショーで「夢のみずうみ村」という介護施設の特集があった。革命的な介護施設という取り上げ方だったが、何より驚いたのはそこに映し出された老人たちの表情が信じられないくらい生き生きとしていることだった。革命的と言われる理由は、

・バリアフリーではない。
・その日の予定は本人が決める。
・目標も本人が決める。
・食事の配膳もできる限り自分でやる。
・カジノがある。等々。

およそ普通の介護施設では考えられない仕組みだった。施設内のいたる所には、家具が「普通」の生活環境のように置かれたままで、通常鬼門とされる階段もある。この介護施設が今、全国から注目されている。その理由は、要介護状態の改善率が異常に高い事があげられていた。通常の介護施設では至れり尽くせり介護士達の献身的な介護のおかげで何もしなくても暮らせる。あらゆる障害を事前に取り除き、危険なものは極力排除する。要介護者達はそこで天国のような生活をするのかもしれない。いや、実際にはそんな生易しいものではないかもしれないし、現実はもっと厳しいかもしれないが、目指すところはそこだと思う。

しかし、考えてみれば夢のような世界では、人は努力をしなくなる。人間は困難に向かう時、はじめて努力するのではないか。2階のカジノに行きたいから階段を上る。自分がしたい事をするために人は困難を苦と感じなくなる。それが自然とリハビリにつながり知らず知らずの内に回復していく。夢のみずうみ村では、リハビリの目標も本人が決める。他人に与えられた目標では達成感が乏しい。自分で定めた目標だからこそ達成した時の喜びは計り知れないし、努力も苦で無くなるのではないか?何より自分に目標を持てる事は幸福だと思う。番組の中で取り上げられていたある方は、車椅子無しでは生きていけないと診断されていた。その男性が歩行器を使い自分の足でゆっくりと少しづつ歩く姿が放送されていた。男性の幸せそうな笑顔の横でわが事のように喜ぶ介護士の表情が素晴らしかった。その男性がホワイトボードに自分自身で書いた目標は「車椅子よさらば!」だ。

カジノにもちゃんとした理由がある。もちろん、賭事は法律で禁じられているので賭けるのはこの施設だけで使用できるクーポン券だが、単なるゲームじゃなく「賭事」だからこそ人はより勝ち負けに一喜一憂する。人と人との触れ合いが感情を高め、生きる活力を生んでいくそうだ。

こんなに生き生きとした介護施設の映像を見たのは初めてだ。NTTのCMじゃないが年老いてなお目標や夢が持てる事が、どれだけ人に生きる力を与えるのかという事を見せつけられたような気がする。

夢や希望が持てず日々淡々と暮らし、精気が無い子供たちが増えている実態を打開するためのヒントがここにあるように思う。現状は、

・障害は親が取り除き、危険なものには近寄らせない。
・その日の予定は親や先生が決める
・進学先や目標は親が決める。
・食事の用意や後片づけは親がする。
・カジノは無いが、一人でできるゲームはある。

どうでしょう?子供たちの生き生きとした笑顔がこれからも見つづけられるでしょうか?

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